来世なんてない

だから、どんな自分でも愛してあげたい

真面目で手のかからない人間の罠

「真面目で頑張り屋」なイメージがついている人って周りにいませんか?

真面目で頑張り屋に見えてる人って、本質はそのイメージほど真面目ではないんじゃないかと思うんです。真面目なイメージを自分に課してしまって、それを守らなきゃいけないという強迫観念に囚われて、人知れず息苦しくなっているように思うんです。

 

病んでる時に高橋優をよく聴いてたのですが、真面目な人といえばこの曲を思い出す。


高橋優 「素晴らしき日常」

 

それはそうと詳細なことまでは知らないけど

真面目で頑張り屋なように見えていたあの人が

お金と愛情と覚醒剤をハキ違えて

あげ足とりたがりの人々を喜ばせた

 

もう一度言いますが、やっぱり「真面目に見える人」って、必ずしも真面目ではないです。「真面目に見せるのが上手い人」ではあるかもしれないけど。

 

私自身、いわゆる「真面目に見える人」だったんじゃないかと思っています。

自分で言うのもおこがましいですが、親と住んでいる時はまさに「真面目で手のかからない子」でした。

 

特に指導しなくても勝手にできている子。

自己主張をせず、ルールを守り、問題を起こさない。

 

私には姉と妹がいて、姉はとにかく片付けができなかったり、妹は朝一人で起きれなかったりと、何かと手のかかる子だった。親が大変そうだったので、迷惑をかけない子でいることが自分のアイデンティティになっていました。

 

「町子はしっかりしてて、なんでも一人でやってくれるから助かる」

これが自分の承認欲求を支えた母の言葉です。

 

姉や妹が何かを親に強請っているのを見て醜いと感じ、わがままを言わないことにした。

外食に行っても家計を支えるつもりで一番安いメニューを選ぶことにした。

欲しいものを欲しいと言わないことにした。

 

やってみたいことよりも、親がどう思うかが判断基準。

 

「あなたは真面目で頑張り屋の自慢の娘よ!」

 

ある日その言葉を聞いた時、なぜか不快感が芽生えました。

 

真面目で頑張り屋じゃなくなったら、自慢の娘ではないと言われている気がしました。

私が普段からいろんなことを我慢してることが、親にとってはもう当たり前のことになっていることを感じ取った瞬間でした。

 

自分で考えて「真面目で頑張り屋」を選んでいたわけではなかったんですよね。

「真面目にしろ」「頑張れ」と言われるがままに従っただけなので、信念なんてありませんでした。

 

そして、急に進路をアート系の学校にして周囲に驚かれました。

親は私のことを真面目で頑張り屋だと思っていたから、どんな環境でも自分で考えて真面目にやれると思ったのかもしれません。正直何も考えていなかったのですが、学生時代にコツコツ頑張る姿をこれ見よがしに披露して妙な信頼を得ていたのでしつこく止められるということもありませんでした。

 

自由になるためにはお金が必要で、せっせとアルバイトをしたものの、バイトはバイトでしがらみが多く、全然自由じゃない。バイト先でも癖で真面目を披露してしまって、無駄にシフトを増やしてしまい断りきれずに言いなりに。

 

そして、街で風俗のスカウトに声をかけられたことをきっかけに

「誰にでもできることじゃないから難しいことではあるけど、君はこういう仕事ができるすごい子なんだと思う!夢を叶えた子もいるし、職に貴賎はないんだ」

と言われ、あっという間に風俗嬢に。

 

真面目で手のかからない子は、自分の意見をあまり持ちません。気持ち悪いくらい素直です。強い意志で断るということが苦手です。

その素直さや不気味なまでの温厚さは、あまり物事を深く考えないという浅はかさから来ている部分も少なからずあるでしょう。

 

私は、信念やこだわりのない人間は一生豊かになれないと考えています。

こだわりのない人は人に合わせることに抵抗がないからとても都合がいいのですが、相手のこだわりを理解して合わせているわけではないので、ちょっとしたきっかけで関係性が簡単に壊れます。決定権を相手に完全に委ねることで、失敗した時に全て相手のせいにして自分を擁護するのです。

 

「相手を尊重できるのはあなたのいいところだよ」と私を褒める人もいましたが、実際私は争うのが面倒だから従っていただけで、尊重していたわけではありませんでした。

すごく卑怯で嫌な奴だと思いませんか?

 

自己評価を他者に依存するので、真面目で頑張り屋を求められる場所では真面目を演じますが、簡単に体を差し出すふしだらな女を求められたら、すぐさまそれが正義になるのです。

 

恋愛市場では簡単に攻略できる女なんてセフレくらいにしかなれないのが現実だということも、本気で心配してくれる男性に教えてもらえるまで気が付かないくらいに思考能力が乏しかった。ただ遊びたいだけの男からしたら、不都合になる情報を与える意味ないですもんね。

 

されるがままになって都合がいいから人が寄って来ているだけなのに、それすらも「自分の魅力」と勘違いして、求められるがままに環境にのめり込む愚かさ。

 

手のかからない子は、迷惑をかけないように問題を自己解決しようとします。

付き合った男にお金をせびられても、「風俗で働けばなんとかなる、黙っていればバレない」と考え、親に隠し続けました。

 

「真面目で頑張り屋」のイメージを相手に刷り込ませておくことには、コミュ障でも頭が弱くても社会性や常識がなくても、なんとなくカバーできる万能さがあります。

意識して真面目と不真面目なオンオフの切り替えられる器用さを持っている人間なら長所なのですが、スイッチ入りっぱなしの真面目ちゃんは生産性が悪い。生産性の悪い真面目人間は報連相が苦手というのもあります。

 

真面目に振る舞うことが癖になっている人は、自己評価を他者に依存する傾向があるのだと思います。だから私は極端に真面目な人間がいると、警戒してしまう。キャラ作りであり戦略である可能性が高いと感じてしまうからです。

 

そしてその予想はけっこう当たりました。

被害妄想を膨らませて自爆する哀れな人を何人か見てきましたが、彼らの共通点は極端に真面目に振る舞うことでした。

 

子育てでも、会社の新人教育でも、ほっといてもやたら真面目な人、手のかからない子ほど放置しないほうがいいと思う理由でした。